生成AI導入約6分で読めます

生成AIに任せる業務の見つけ方棚卸しの4条件と向き不向き

「何に使えばいいか分からない」を解く手順。1週間の業務棚卸し、任せる業務を選ぶ4条件、向く仕事と向かない仕事の線引きを判定シート付きで。

公開日
更新日
著者
ペイ博士
業務を棚卸しして、生成AIに向く仕事と向かない仕事に仕分けする流れ

「AIで何ができるか」から探すと止まります。手元でくり返している作業から探すと決まります。

生成AIを入れたいが対象業務が決まらない、という段階のための手順書です。1週間の棚卸し、4条件での仕分け、向く仕事と向かない仕事の線引きを、判定シートの形まで具体化します。

Why Cases Fail

事例集をいくら眺めても、自社の1つは決まらない

他社の事例は、その会社の情報の形と体制に合わせて成立しています。どんな資料がどの形式で揃っているか、誰が確認できるか、間違えたときに誰が気づくか。そこが違えば、同じ業務名でも同じようには動きません。

だから探す先は、他社の成功例ではなく自社の中で、毎週だれかが手で繰り返している作業です。資料も担当者も確認者も、すでに社内にあります。

導入全体の流れ(業務を選ぶ・ルールを決める・試す・広げる)は生成AIの社内導入、何から始める?が正本です。ここではその「ステップ1=業務を選ぶ」だけを掘り下げます。

Inventory

まず1週間、手元の作業を棚卸しする

候補は、会議室で考えるより、実際にその業務をしている人が1週間書き出すほうが早く、外れません。

1週間の業務を棚卸しし、4条件で仕分けて最初の1つを選ぶまでの流れ
1

1週間、くり返している作業を書き出す

書くのは管理職ではなく担当者本人です。手を動かしている人しか、どこで時間が溶けているか知りません。3〜5人分で十分。それ以上集めても判断は速くなりません。

対象は「毎回ほぼ同じ手順でやっていること」です。企画や交渉のような一回性の仕事は外して構いません。

例:「見積書の文面を過去のものから直して作る」「問い合わせメールに定型で返す」「議事メモを箇条書きに直す」。
2

頻度・所要時間・使う材料を添える

作業名だけでは比べられません。「週に何回か」「1回に何分か」、そして使う材料(どの資料を見ながらやっているか)を書き足します。

いちばん効くのは3つ目です。参照する資料が特定できる作業は、AIに渡すものがはっきりしているので試しやすい。「頭の中の経験」だけで進めている作業は、最初の1つには向きません。

3

「書く・整理する・要約する・形を整える」に印をつける

文章を書く・情報を整理する・長いものを要約する・形式を整える。このどれかに当てはまるものへ印をつけます。生成AIの得意な領域で、最初の候補はほぼこの中から出ます。

印が5つ以上ついたら十分です。次のセクションの4条件で絞り込みます。

4 Conditions

候補を4条件で仕分けて、1つに絞る

印をつけた候補は、次の4条件で機械的に仕分けます。感覚で選ばず、満たす数で並べ替えます。

任せる業務を選ぶ4条件

  • 定期的に発生する
  • 入力情報を限定・匿名化できる
  • 正誤を人が判断できる
  • 間違っても公開前に戻せる

4条件それぞれの考え方は生成AIの社内導入、何から始める?で解説しています。ここでは候補を並べて判定する形に落とします。

候補を次の形の表に写します。列は業務名・頻度・材料・満たす条件の数・判定。1行3分もかかりません。

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業務名頻度材料4条件判定
議事メモの要点整理週3回自分で取ったメモ4/4最初の1つ
定型メールの下書き週5回過去の送信文4/4次の候補
提案書の構成づくり月2回ヒアリングメモ3/4保留(頻度が低い)
取引先への与信判断月1回決算資料1/4外す

選ぶのは、満たす数がいちばん多く、頻度が高いものです。同点なら頻度で決めます。週に何度も起きる作業のほうが、2週間の試行で判断材料が早く集まります。

満たす数が3以下でも「できない業務」ではありません。1つ目に選ばない、というだけです。

Fit

向いている仕事・今は向かない仕事

線引きの目安を持っておくと迷いません。境目は「間違いに人が気づけて、出す前に直せるか」の一点です。

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向いている仕事今は向かない仕事
長文や記録の要約採用・与信・契約などの最終判断
メールや文書の下書き一次情報の代わりに事実を尋ねること
情報の整理・並べ替え社外への最終回答をそのまま出すこと
社内向けの言い換え・表現調整法令・業界規制への対応を判断すること
箇条書きから表への形式変換確認できる人が社内にいない領域の作業

右の列に共通するのは、間違いが出た時点でもう戻せないか、間違いに社内の誰も気づけないという性質です。とくに「事実を尋ねる」使い方は要注意で、生成AIはもっともらしい文章の形で誤りを返します。事実は一次情報で確かめ、AIには手元の資料を渡して整理してもらう向きが安全です。

「今は向かない」は、永久に使えないという意味ではありません。確認できる人と手順が整うまで外しておく、という意味です。体制が整えば右から左へ移る業務もあります。なお、これは業務選定の考え方であり、法務・業界規制に関する判断を置き換えるものではありません。

入力してよい情報や確認者の決め方は社内の生成AIルール、最低限決める3つに雛形付きでまとめています。

Pick One

最初の1業務を決めるチェック

  1. 棚卸しができた

    • 担当者本人が1週間分の繰り返し作業を書き出した
    • 各作業に頻度・所要時間・使う材料を添えた
  2. 4条件で仕分けた

    • 候補を表に写し、満たす条件の数を数えた
    • 満たす数と頻度で並べ、1つに絞った
  3. 担当者と確認者を決めた

    • その業務を実際に試す人を決めた
    • 出力を確認する人と、確認する観点を決めた

まとめ:探すのは事例ではなく、自分たちの手作業

最初の1業務が決まらないのは、選択肢が少ないからではなく、探す場所が外にあるからです。他社の事例を集める時間を、担当者が1週間分の手作業を書き出す時間に置き換えれば、候補は社内から出てきます。

あとは4条件で機械的に仕分け、いちばん多く満たし、いちばん頻度の高い1つを選ぶ。担当者と確認者を決めて2週間試すだけです。1つ動けば、次の候補は同じ表の中に並んでいます。

Author

ペイ博士

理学博士・AIエンジニア

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